こんにちは! ゴリップル(@5ripple)です!
ワールドカップ2018ロシア大会、ベスト8の壁は厚く、日本代表の挑戦は終わってしまいました。
大会直前で監督が交代し、ここ最近の代表戦もパッとせず、前評判では「グループリーグで全敗するのでは?」とも言われていましたが(私もそう思っていました)、蓋を開けてみればベスト16という結果。
FIFAランク3位のベルギー相手に、FIFAランク61位の日本が、一時的にも2点のリードを奪ったことは驚きでした。
リアルタイムでの視聴に加え、録画していたもの2回見たのですが、結果が分かっていても日本のゴールシーンを見ると涙が浮かんできます。
賛否両論だったグループリーグ最終戦の直後にこんなにも素晴らしい試合展開を見せてくれるなんて、本当に夜更かしした甲斐がありました。
ベルギー戦の最後の最後に、日本のスタイルである”カウンターサッカー”でトドメを刺されたのは皮肉にも思えますが、それまでは今までの日本代表とは違う”自分達のサッカー”が出来ていたのでないでしょうか?
そんな新しい姿を見せてくれた日本代表の、グループリーグ最終戦(ポーランド戦)について自分が思う所を書いておきたいと思います。
ポーランド戦の背景
日本が迎えたグループリーグ最終戦、試合開始時点での日本の勝ち点は4。対戦相手のポーランドは勝ち点0で、この時点でポーランドのグループリーグ突破の可能性はゼロでした。
また、別の会場で行われていたコロンビア(勝ち点3)対セネガル(勝ち点4)の結果如何に関わらず、日本は引き分け以上でグループリーグ突破を決めることが出来るという圧倒的優位な状況で試合はスタート。
日本は第1戦(v.s.コロンビア)、第2戦(v.s.セネガル)と変えなかったスタメンを6人変更。
「疲れが蓄積している主力メンバーを休ませるため」だそうですが、今後の決勝トーナメントを見据えれば仕方がないことかなとも思いますし、色々な選手にワールドカップという舞台を経験させることで今後の日本サッカーの礎にしたいという気持ちも理解できます。
今回は引き分け以上でも良いとはいえ、あくまでも相手は格上。
一抹の不安が残ります。
試合の進行に伴う状況の変化
試合が動いたのは後半14分、”負けなければ良い試合”で日本がポーランドに得点を許してしまいます。
もし日本がポーランドに負けてしまえば、他会場で同時に行われているコロンビア対セネガルの結果次第、つまりコロンビアがセネガルに勝利しなければ日本は圧倒的優位な立場からグループリーグ敗退を喫してしまうのです。
この時点において、日本の執るべき戦略は”攻め”しかありません。
コロンビア対セネガルが、その時点で引き分けである以上、日本が確実に決勝トーナメントに進むためには何としてでもポーランドから点を獲って”引き分け以上”に持ち込まないといけないからです。
次に試合が動いたのが後半27分、別会場で行われていた試合でコロンビアがセネガルからゴールを奪い、スコアを1-0とします。
つまり、コロンビアが勝利する可能性が相当高くなったわけです。
この時点で日本はポーランドに負けていましたが、”コロンビアが勝利し”、”これ以上の失点をせず”かつ”イエローカード以上の反則を受けない”という条件で決勝トーナメントに進める可能性が生まれたのです。
西野監督の「負けても良い」という選択
この時点で日本が執り得た戦術は二つありました。
一つはこ「のまま攻めて”引き分け以上”に持ち込み、自分たちの手で決勝トーナメント進出を掴み取る」という戦術。
この場合、攻めて得点を挙げることが出来れば良いのですが、カウンターにより更に失点を積み重ねる可能性、そしてプレーの進行に伴う接触によりファールを積み重ねる可能性が出てきます。
もう一つの戦術は「コロンビアがセネガルに勝つことに賭け、これ以上余計な動きをして失点やファールをしない」というものです。
この場合、”コロンビアがセネガルに勝つ”というのが前提になっていますので、万が一セネガルが得点を決めて同点になれば、その時点で日本のグループリーグ敗退は濃厚となります。
完全な他力本願です。
西野監督が下した決断は後者でした。
日本がずっとパスを回してブーイングが起こる試合を見ているとき、個人的には「攻めて自力で決勝トーナメント進出を勝ち取って欲しい」という気持ちの方が強かったです。
しかし、日本とポーランドの実力差、コロンビアとセネガルの実力差、その他諸々の事情を考えれば「”これ以上は動かない”というのがベストな選択」というのも理解できます。
感情云々よりも、理屈で導き出した答え。
正直、日本人監督がこんなにも”合理的”な戦術を選択したことに対して「こんな選択を出来る人がいるんだ」と驚きました。
もう、ここまできたら信じるしかない。
結果的に日本はポーランドに敗退したものの、フェアプレーポイントでセネガルを上回り決勝トーナメントに進出が決定しました。
西野監督の”動かない”という戦術が功を奏したわけです。
まとめ
日本は”動かない”という決断の元に行われたパス回しによる時間稼ぎによって決勝トーナメント進出を勝ち取ったわけですが、案の定様々な批判がありました。
フェアプレーポイントの差で決勝トーナメント進出を勝ち取った日本だが、それを決定的にしたのは”10分以上にも及ぶパス回しによる時間稼ぎ”というフェアプレーではない行為、といった皮肉めいた批判もありました。
しかし、誰が何と言おうとも全ては結果論です。
仮に日本が”引き分け以上”を狙って攻めたとして、その結果ポーランドに追加点を許したり、日本がイエローカードを積み重ねて決勝リーグ進出を逃した場合に

何で無謀な攻めをしたのか!?

何で守るという選択肢を取らなかったのか!?
という批判があったのは目に見えています。
勝負において、100点の結果が得られることなど殆どありません。
選手たちに出来るのは、刻一刻と変わりゆく状況の中で、出来るだけ”状況に応じた最善の一手”を尽くすことだけです。
ポーランド戦において、私情や世間の目を排除して、批判の大きさを覚悟で”最善の一手”を選択したのは本当に素晴らしい選択だったと思います。
私たちはどうしても”失敗した時のこと”を考えてしまうので、「失敗した時のダメージが少なくなるように…」という考えで行動してしまいがちです。
ですが、この時の日本代表には「失敗した時のダメージ(批判)が大きくても、グループリーグを突破するためには手段を選ばない」という強い意思を感じることが出来ました。
素人のクセに上から目線で申し訳ないのですが

こういう戦術がとれるなんて、日本代表も成長したな~
と思った瞬間でもあります。
本田選手、長谷部選手といったこれまでの日本代表を支えていた選手が代表からの引退を宣言していることから、今後は全く新しい形の日本代表になることが容易に想像できます。
ですが、今回のワールドカップで見せた日本代表の雄姿は、確かに今後の日本のサッカー日本代表にとって大きなモノを残せたのではないかと思います。
月並みですが、日本代表の皆さん、感動をありがとうございました。