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加重逃走罪:単純逃走罪との違いは?刑法第98条を解説

刑法:各論
ゴリップル
ゴリップル
また逃走事件ウホ!
ハルコ
ハルコ博士
今年は逃走事件が続くね。

前回は愛媛県の松山刑務所から受刑者が逃げ出したけど、今回は大阪府の富田林警察署から被疑者が逃走したウホ。

前回の逃走事件は”単純逃走罪”が成立したけど、今回は”加重逃走罪”が成立するだろうね。

“単純”だとか”加重”だとか言われても、単細胞なボクにはサッパリ分からないウホ。

それじゃあ、今日は”単純逃走罪”と”加重逃走罪”の違いについて勉強しよう。

その前に、単純逃走罪の復習をしなきゃウホ…。

単純逃走罪:プリズンブレイクの代償は?刑法第97条を解説
ゴリップルまだ捕まらないウホね…。ハルコ博士どうしたの?2018年4月8日に愛媛県の松山刑務所から受刑者が逃げ出して、もう10日以上過ぎたウホ。広島県の向島に潜伏しているみたいだけど、なかなか捕まらないウホね…。【続きを読む】
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加重逃走罪の条文

刑法では、第98条に加重逃走罪が規定されています。

刑法第98条
前条に規定する者又は勾引状の執行を受けた者が、拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、暴行若しくは脅迫をし、又は二人以上通謀して、 逃走したときは、三月以上五年以下の懲役に処する。
前条に規定する者というのは”裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者”のことウホね。

加重逃走罪の主体

「単純逃走罪の主体となる者」又は「勾引状の執行を受けた者」が加重逃走罪の主体になります。

 

“単純逃走罪”に比べて、”加重逃走罪”の方が、対象者が広くなっているウホね!

単純逃走罪の主体となる者

裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者です。

具体的には、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律で定められた刑事施設、留置施設、労役場及び監置場に拘禁されている者のことをいいます。

なお、少年鑑別所は刑事施設に準じますが、少年院は刑事施設には当たらないとされています。

既決の者

確定裁判を受けて刑事施設に拘禁されている者、又は死刑執行に至るまで拘置されている者をいいます。

罰金未納のため労役場に留置されている者を含みます。

未決の者

裁判の確定前に被疑者又は被告人として勾留状の執行により拘禁されている者をいいます。

逮捕留置中の者、勾引状の執行を受けた者は”未決の者”には含まれません。

しかし、勾留の執行を停止して鑑定留置に付された者は”未決の者”に含まれます。

勾引状の執行を受けた者

逮捕状によって逮捕された被疑者、裁判所が発付する勾引状の執行を受けた被疑者・被告人のことをいいます。

しかし、現行犯逮捕された者、又は緊急逮捕されたものの逮捕状が発付される前の段階の者は”勾引状の執行を受けた者”に含まれません。

えっ? ちょっと待って欲しいウホ。

どうしたの?

現行犯逮捕された人は逃走罪の主体にはならないウホ?

そうだね。

現行犯逮捕された者、又は緊急逮捕されたものの逮捕状が発付される前の段階の者は「勾引状の執行を受けた者」に含まれないから、加重逃走罪の主体にはならないよ。

ただし、現行犯逮捕された者であっても、勾留の裁判を受ければ裁判の執行により拘禁された未決の者になるから、それ以後は”単純逃走罪”と”加重逃走罪”の両方の主体になるんだよ。

現行犯逮捕されても、勾留の裁判が始まるまでなら”逃げトク”になるかもしれないウホね。

残念ながら、今の法律ではそうなってしまうね…。

加重逃走罪の保護法益

加重逃走罪の保護法益も、単純逃走罪と同じく、国家の拘禁作用、特に刑事司法に関する拘禁作用となっています。

加重逃走罪の行為

加重逃走罪の行為は「拘禁場若しくは拘束のための器具を損壊し、又は暴行若しくは脅迫をして逃走すること、又は二人以上通謀して逃走すること」となっています。

拘禁場等の損壊

拘禁場等の損壊は、逃走の手段として行われなければなりません。

単にムシャクシャして拘禁場の壁を損壊したというような場合には、加重逃走罪にいう”拘禁場等の損壊”には該当しません。

また、ここでいう”損壊”とは物理的な損壊のことをいいます。

手錠で拘束されている者が、力づくで手錠を引きちぎった場合は”損壊”になります。

しかし、合鍵を使用して手錠を外すことは、加重逃走罪での”損壊”には当たりません。

暴行・脅迫

加重逃走罪の”暴行・脅迫”は、逃走の手段として、看守者又はその協力者に向けられたものでなければなりません。

また、この”暴行・脅迫”は、相手の反抗を抑圧する程度である必要はなく、逮捕行為を妨害し得る程度であることも要しません。

加重逃走罪の暴行は、”広義の暴行”ウホ!
刑法の”暴行”の概念については、暴行罪のページで解説しているよ!
https://goriharu.com/2018/02/16/k208/

通謀

二人以上の者の通謀が必要ですが、通謀者はいずれもが本罪の主体となり得る身分を有していなければなりません。

つまり、現行犯逮捕されて未だに勾留質問が終わっていない段階の二人以上の者が通謀して逃走しても、加重逃走罪は成立しないということウホね!

また、通謀者には”共に同一の機会を利用して逃走する”旨の意思連絡が必要になります。

通謀逃走については、二人以上の者が同一機会に逃走することが本罪の成立要件となっています。

加重逃走罪の着手時期

加重逃走罪の着手時期は、損壊又は看守者等に対する暴行・脅迫を開始した時点です。

逃走の着手後に拘禁場等の損壊等を行った場合は、その段階で加重逃走罪の着手となります。

加重逃走罪の既遂時期

看守者の実力支配を脱したときに既遂となります。

これも”単純逃走罪”と同じウホ!

逃走して看守の目から逃れることに成功したとしても、未だに刑事施設内にいる場合は既遂とはなりません。

また、刑事施設から脱出したとしても引き続き看守から追跡を受けている場合も既遂にはなりません。

逃走行為が完成しなければ未遂罪が成立します(刑法第102条)。

加重逃走罪も、単純逃走罪と同様に、既遂に達すると同時に終了する状態犯であり、継続犯ではありません。

加重逃走罪と他罪との関係

器物損壊罪との関係

逃走に着手した後に行われた器物損壊等は加重逃走罪に吸収されるため、別個の犯罪とはなりません。

公務執行妨害罪との関係

看守等に対しておこなった公務執行妨害罪についても加重逃走罪に吸収されます。

単純逃走罪との関係

単純逃走罪が既遂に達した後で手錠等の器具を損壊しても、加重逃走罪は成立しません(別個の器物損壊罪が成立します)。

まとめ

“単純逃走罪”と”加重逃走罪”の違いは、大きくいえば次の二点になるウホね。

・主体となる範囲
・逃走する際の、逃走以外の行為の有無

そうだね。

その点を踏まえて、富田林警察署の事件を考察してみようか。

やってみるウホ!

まず、主体について考えてみよう。

今回逃走した人は、逮捕勾留中の被疑者だったし、他の罪で起訴されている被告人でもあったウホ。

つまり“裁判の執行により拘禁された未決既決の者”に該当するウホ!

その通り!

では、逃走の際の行為についてはどうかな?

逃走する際に、留置場の面会室のアクリル板を壊しているウホ。

つまり、“拘禁場等の損壊”が行われたことになるウホ!

だから、今回の場合は加重逃走罪が成立するウホね!

正解! よく分かったね!

少しはアタマが良くなってきた気がするウホ!

地道にでも頑張っていれば、きっと色んなことも理解できるようになるよ。

これからも勉強を頑張るウホ!

参考文献

この記事を書いた人
ゴリップル

不労所得での生活を夢見るオスゴリラ。マッサージと節約が大好き。サビ残は大嫌い。職場で『ふるさと納税』『iDeCo』『つみたてNISA』の普及活動を推進。仮想通貨投資では10年先を見据えてXRP(リップル)に投資中。詳しいプロフィールはこちら

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