


2018年4月8日に愛媛県の松山刑務所から受刑者が逃げ出して、もう10日以上過ぎたウホ。
広島県の向島に潜伏しているみたいだけど、なかなか捕まらないウホね…。

単純逃走罪の条文
刑法第97条では単純逃走罪が規定されており、条文は以下のようになっています。
裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走したときは、一年以下の懲役に処する。

単純逃走罪の主体
本罪の主体は、裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者です。
具体的には、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律で定められた刑事施設、留置施設、労役場及び監置場に拘禁されている者のことをいいます。
なお、少年鑑別所は刑事施設に準じますが、少年院は刑事施設には当たらないとされています。
拘禁
ここでいう拘禁とは、身体の自由の拘束のことをいいます。
既決の者
確定裁判を受けて刑事施設に拘禁されている者、又は死刑執行に至るまで拘置されている者をいいます。
罰金未納のため労役場に留置されている者を含みます。
未決の者
裁判の確定前に被疑者又は被告人として勾留状の執行により拘禁されている者をいいます。
逮捕留置中の者、勾引状の執行を受けた者は「未決の者」には含まれません。
しかし、勾留の執行を停止して鑑定留置に付された者は「未決の者」に含まれます。






単純逃走罪の保護法益
単純逃走罪の保護法益は、国家の拘禁作用、特に刑事司法に関する拘禁作用です。
単純逃走罪の行為
単純逃走罪の行為とは”逃走すること”です。
逃走とは拘禁から離脱することです。
この離脱が一時的なものであっても単純逃走罪が成立します。
単純逃走罪の着手時期
拘禁から離脱する行為に着手したとき、つまり、拘禁作用の侵害が開始されたときが単純逃走罪の着手時期になります。
単純逃走罪の既遂時期
看守者の実力支配を脱したときに既遂となります。
逃走して看守の目から逃れることに成功したとしても、未だに刑事施設内にいる場合は既遂とはなりません。
また、刑事施設から脱出したとしても引き続き看守から追跡を受けている場合も既遂にはなりません(逃走行為が完成しなければ未遂罪が成立します)。
なお、単純逃走罪は既遂に達すると同時に終了する状態犯であり、継続犯ではありません。



まとめ

今回逃走した受刑者の行為では単純逃走罪が成立するウホね!

そうだね。

受刑者は”裁判の執行により拘禁された既決の者”に該当する。

また、今回受刑者が脱走したのは「塀のない刑務所」とも言われている松山刑務所の大井造船作業所で、加重逃走罪に該当する行為も行われていないから、単純逃走罪が成立することになるね。

加重… 逃走罪…??

加重逃走罪については、別のページで詳しく説明しているよ。


広島県警・愛媛県警が連日数百人体制で受刑者を探しているけど、10日経った今でも見つかっていないウホ。

これだけの労力をかけて受刑者を捕まえたとしても、罰則が1年以下の懲役というのは、軽すぎじゃないウホ?

うーん。

まぁ、これまでも社会的に大きな反響があった事件の後で法律が改正されることもあったから、もしかすると今後罰則について議論されるかもしれないね。

とにかく、受刑者が潜伏していると思われる向島の人たちは不安な日々を過ごしているだろうから、一日でも早く発見されることを願っているよ。
参考文献

