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相当因果関係説? 条件説? 原因説? 因果関係について解説

刑法:総論
ゴリップル
ゴリップル

因果関係がないと犯罪が成立しないって本当ウホ?

ハルコ博士
ハルコ博士

因果関係とは、簡単に言えば原と結関係のことだよ。

今回は、因果関係について解説しよう。

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因果関係の意義

因果関係とは、実行行為と構成要件的結果との間に必要とされる、一定の原因・結果の関係のことをいいます。

因果関係が認められない場合には、行為者に結果に対する責任を負わせることはできないので、既遂罪は成立しません。

つまり、未遂処罰規定のある場合には未遂罪が成立し、未遂の処罰規定がない場合には犯罪を構成しません。

因果関係が認められない場合って、どんな場合ウホ?

詐欺罪(刑法第246条)で考えてみよう。

詐欺罪の成立のための、時間的な段階は分かるかな?

 

欺罔行為被害者の錯誤財物的処分行為財産上の不法の利益の獲得という流れウホ!

じゃあ、次の場合は詐欺罪が成立するか分かるかな?

オレオレ詐欺を計画したAが孫のふりをして見知らぬ老婆Bに電話をかけたが、BはAが自分の孫でないことを看破した。
しかし、オレオレ詐欺をしているAのことが不憫に思えてきて、Aに恵んであげるつもりでAの言われるままに銀行口座に50万円のお金を振り込んだ。

う~ん、犯人AはBを騙すことは出来なかったけど、結局Aは50万円を手にしているんだから詐欺罪が成立するんじゃないウホ?

残念! 違うよ。

この場合は詐欺罪の既遂にはならないんだ。

事例ではBはAの嘘を看破しているね。

つまり、Bに対するAの欺罔行為は行われているものの、結果としてBは錯誤に陥っていない。

ここで因果関係が切れてしまっているんだ。

犯罪が成立するための因果関係が途切れてしまっているから、BがAの指定した口座に50万円を振り込んだとしても詐欺罪は成立しないんだ。

え? じゃあAはお咎めなしってことウホ?

いや、違うよ。

詐欺罪には未遂の処罰規定があるのは知っているね。

今回の事例の場合、AがBに対して孫を装って電話をかけたことは欺罔行為にあたるから、詐欺罪の着手はあったといえる。

犯罪の着手がある以上、未遂犯の処罰規定があれば処罰の対象となるから、今回の場合は詐欺未遂罪が成立するんだ。

未遂犯については、また別の機会に勉強するウホ!

https://goriharu.com/2018/04/03/misui/

因果関係に関する学説

条件説

「その行為がなかったならば、その結果が生じなかった」といえる条件関係が認められれば因果関係を肯定する説のことを条件説といいます。

条件説に対しては、因果関係の範囲について不当な拡大をもたらすという批判があります。

原因説

結果に対する条件のうち、最有力の条件・最終の条件など、重要なものだけを原因と認めた上で、この原因と結果との間にのみ因果関係を肯定する説のことを原因説といいます。

原因説は、因果関係を広く捉えがちな条件説を制限するために考えられたものですが、何が有力・重要なものであるかを選択するための合理的な基準が確定されていません。

そのため、合理的な原因の選択が困難であるという批判もあります。

相当因果関係説

実行行為と結果との間に条件関係があるだけでは足りず、その行為からその結果を生じることが、社会生活上の経験に照らして相当であるといえるときに因果関係を肯定するものを相当因果関係説といいます。

相当因果関係説にも、次の3つの説での議論があります。

主観的相当因果関係説

行為者が、行為の当時に主観的に認識し得た事情を因果関係の基礎とすべきという考え方のことを主観的相当因果関係説といいます。

行為者が認識していることのみを相当性の判断基準とするため、因果関係を認める範囲が狭すぎるという問題があります。

範囲が狭すぎるってどういうことウホ?

「自分は知りませんでした」という言い訳をされれば、捜査機関がその証言を崩すのはとても困難なんだ。

また、犯人の主観で因果関係が判断されるのであれば、犯人の口を割らせようとして捜査機関が犯人に自白の強要を行う温床にもなりかねないね。

客観的相当因果関係説

客観的事後予測に基づく説のことを客観的相当因果関係説といいます。

行為の後に適法か否かを判断する裁判官の立場に立って、行為の当時に行為者が認識していた事情及び客観的に存在した一切の事情を考慮し、また、行為後に生じた事情についても、それが予見可能である限りは全て考慮しなければならないという考え方のことをいいます。

行為当時に存在した事情については、たとえ誰も知り得なかったとしても、客観的事実として存在する限りは相当性を判断する材料となり得るという点で、行為者にとって不利な説であるといえます。

いわゆる”後出しジャンケン”で判断されるってことウホね。

そう。

誰も知り得なかった事実でも考慮しなければいけないというのは、不可能を強いるものだよね。

折衷的相当因果関係説

行為の際に、通常人ならば知り得たであろう一般的事情及び行為者が特に知っていた事情を判断の基礎として因果関係の存在を判断しようとする考え方のことを折衷的相当因果関係説といいます。

通常人(一般人、いわゆる普通の国民)が認識できたことを相当性の判断材料としている点で、誰も知り得なかった事情も相当性の判断材料とする客観的相当因果関係説とは異なります。

この折衷的相当因果関係説が主要見解の一つであり、通説の立場となっています。

説明を見ても、これがまともな感覚だと思うウホ。

判例の立場

判例は、従来から条件説の立場をとっていると解されています。

これまでの流れから、てっきり相当因果関係説が判例の立場だと思っていたウホ。

判例の立場は条件説だけど、近時では具体的事案に応じて条件説・相当因果関係説の立場から因果関係を判断しているよ。

ただし、因果関係に関するスタンスとして、(1)当該実行行為が結果に対する直接・唯一の原因でなくてもよい、(2)当該実行行為が単独では結果発生をもたらしえないものでもよい(他の条件とあいまって結果を生じた場合でもよい)、(3)当該実行行為が他の条件と比較して間接・劣勢なものでもよい、とするのは一貫しています。

行為時や行為後に特殊な事情が介入した場合の因果関係に関する判例

被害者の特異事情に関するもの

被告人が、被害者の顔面に致命傷にならない程度の暴行を加えたところ、被害者は脳梅毒で脳に高度の病変があったため、脳組織が崩壊して死亡した場合、被告人が被害者の病気を知らず、また、予測不能であっても、被告人の暴行と被害者の死亡との間に因果関係が認められる(最判S25.3.31)としています。

被害者が受傷した後で余病を併発したため結果が発生した場合

射撃による銃創に基づく空腸穿孔を通して、腸間から腸腔内に放射状菌が漏出し、放射状菌病を起こして死亡した場合(「浜口首相暗殺事件」東京高判S8.2.28)には、放射状菌による感染例は日常の経験上極めて稀であるとして、銃創を加えた行為と被害者の死亡との間の因果関係を否定しています(殺人未遂罪を認定)。

被害者自身の行為に関するもの

被告人が、仲間と共に被害者に対して長時間にわたり激しい暴行を加えたところ、極度の恐怖感を抱いた被害者が暴行から逃れようとして逃走し、その過程で高速道路に進入して、走って来た自動車に轢かれて死亡した場合、被告人らの暴行と被害者の死亡との間には因果関係が認められる(最決H15.7.16)としています。

第三者の過失行為に関するもの

被告人が、道路上で停車中の普通乗用自動車後部のトランク内に被害者を監禁したところ、同車両に後方から走行してきた自動車が運転手の過失により追突したことで被害者が死亡した場合、被告人の監禁行為と被害者の死亡との間には因果関係が認められる(最決H18.3.27)としています。

まとめ

今まで深く考えたことはなかったけど、因果関係も大事な要素ウホね。

そうだね。

原因と結果の関係が途切れてしまえば、そもそも犯罪を構成しなくなってしまうかもしれないというのを忘れないようにね。

参考文献

この記事を書いた人
ゴリップル

不労所得での生活を夢見るオスゴリラ。マッサージと節約が大好き。サビ残は大嫌い。職場で『ふるさと納税』『iDeCo』『つみたてNISA』の普及活動を推進。仮想通貨投資では10年先を見据えてXRP(リップル)に投資中。詳しいプロフィールはこちら

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